さて、本文と問1までの説明が、このPDFになります。できれば複合機で各自印刷するか、これを参照しながら青本を使って紙の文章で本文を熟読してください。
「07年度 浅沼圭司「読書について」」:
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[if-login] 07年度東京大学第1問_浅沼圭司「読書について」0630a
問2以降の解説はまだです。そもそも難関である問1の解き方と、全体読解の方針とがぶつかり合うので、その説明だけで資料を作る手間がかかっています。さらにその上で動画解説をしなければ、なかなか2007年度の難しさは乗り越えられるものではありません。止めときゃ良かった、解説のお題にしなきゃよかったと思う難易度ですが、今からなら受験までにちゃんと間に合うし、論理力はまだまだ鍛えなければならない君たちにとって必要な実力につながります。時間をかけるかいは間違いなくあります。ペースが速い解説は【プチ解説】でざっくり行いますので、最終的にはバランスは取れるでしょう。
私の時間と思考力にも限界がありますので、いろいろゴメンね。でも最後までちゃんとやります。
─── で、この文章、いったい何が難しいのでしょうか。それは「文章前半が頭でっかちなくせに、それが結論にはなっていないところ」です。言い換えると、「最初にたくさんこねた理屈が、最終的にどうなるのかとても見えにくいところ」ということになるでしょうか。
最初の論拠の展開を読めない人・・・・・・撃沈
最初の論拠を頭に詰め込んだ人
・・・論拠のどこがのちに修正されるか分からず撃沈
つまるところ、「文章冒頭の論理展開を、論説文の展開をつかむなかで事後的に精読していく」という作業が必要なのです。
これがこの年の過去の場合特に、問1では「なぜ」とあるために、何も知らないと問2のために遠慮して1段落の直接的な理由だけを書いて終わってしまうし、見通しのないまま論理を頭に詰め込むと、たいていの場合先の見えないストレスで新しい話題の新しい論理を受け入れられなくなるのです。そのくせ頭の中は論理でパンパンなので、さも自分がよく分かっているかのような飽和状態から抜け出せなくなります。
最近の出題は難しい文章の場合でも、文章の主張自体が難しいものが多かったように思います。しかしこの辺でロジカルシンキングの根本に立ち返るなら(センター以降の入試改革の目玉がそもそもこのアクティブラーニング、ロジカルシンキングでしたからね)、この2007年度あたりまでもう一度立ち返る必要があります。
この年度の特徴は、「冒頭が古めかしく理屈っぽくて、そのあとで具体例が来る」という不思議な構成の文章であることです。無策だと混乱するので、ぜひ対策してください。
この本試験の前年2006年は、H2系ロケットの打ち上げ成功の年、地上デジタル放送の全国展開完了の年、小泉内閣任期満了の年、マスコミや建設業など既存の業界の脆さが露見した年ということで、「積極的な世代交代論」が交わされた年でもありました。今と比べても国内がかなりポジティブな時代のようにも思えます。
視覚障害を抱えつつ宇宙への夢を追い続けた東大先端研の准教授の福島先生が、学長に代わって2007年度の東京大学入学式祝辞を読み上げるというところもそうした新しい流れを感じさせるのですが、( 平成19年度入学式(学部)祝辞 平成19年(2007年)4月12日 先端科学技術研究センター准教授 福島 智)
「『いまの時代をどうするか』という観点で、既存の割と複雑に仕上がった理屈をもう一度整理分解して根本的に新しい形に組み直してみる」ことを、令和という新しい時代に関連づけて、受験生に求めて来るのではないかな、
ーーそのように個人的には今年の傾向をにらんでいます。
世界の成長の中で見るといまの日本はすごく良い状況、とは言いにくいのですが、
「人間が依拠する文明の底なしの変化を自覚し」て(2017年度入試)、
「デマに踊らされず常に原理を捉えて考え」て(2018年度入試)
「科学的合理的な見方の秩序と先見性を現象の最前線で最大化する」(2019年度入試)
という流れできているのを踏まえると、
論説文の妥当な展開の方向として、十分にこの年のこの問題文は参考になると思います。
さて、この教材は授業のライブ感がないとなかなか伝えにくいところがあるけれども、
筆者が「最終的に述べたい本文全体び論旨の構成、論理展開」の把握のためには、
既存の近代社会が作り上げた「問1問2にからむ『かつての論理展開』」に深入りして迷い込んでしまってはいけないということ。
ーーここが最も重要になるでしょう。
かつての議論に深入りしすぎず、ひとつひとつの論拠のなかから筆者自身が再利用可能なものをどのように探し集めているのかが見えれば読解のアプローチは完成です。
だから賢くなった皆さんからすると、「後半の筆者の主張や具体例に利用されている論拠のリストを取得して、比較参照すれば良い」ということは割と早く見えて来るのではないかと思います。
ーーこういう見通しが立てられない利巧さは、体の良い諦めといっても良いでしょう。とにかくこの時期の冠模試とその前後の担任との二者面談で、変に守りに入らないでほしいなと思います。
詳細については、まずPDFを参照してください。映像授業は、間近に迫っている私の1学期期末考査の合間を縫わなければ収録できなくなってきています(【プチ解説】で皆さんのうちで授業でメゲそうになっているおそれのある人を救済する戦略に変えたので、すみませんがスケジュールが乱れているのです)。
動画でいうのが早いのですが、ここで必要なのは「本文全体の把握」と「旧時代の論理の把握」を、問1や問2を解答する前に済ませておき、新旧の大きく2グループについて設問5つをセットで解いていく、という戦術ですね。
そのための基本的な戦略は、exでも論拠でも新旧の話題の両方で言及されているものをザックリとグルーピングするという、河合塾7月東大オープンで必須のテクニックです。
古文の担当分の設問を仕上げるのに1、2日かかりますので、どうかそれまでにPDF分の自学自習をしてください。当然本文読みながらやってね(青本持っているはずですよね?)。ここをきっちりと乗り越えて、問2以降を丁寧に、大きく広い視野で解答要素を集めてまとめる練習ができたらいいですね。
しっかり頑張りましょう。
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