課題解決型の対策はポイントが多くて大変ですが、ようやくここで記述をする段階に入ってきました。理路を明確にした、最短経路の記述解答を書きましょう。
前の記事までの作業を通して『筆者自身の問題のとらえ方』いわゆる〝問題の本質〟が見えてきた人は、書かなくてよい些末な理屈というのがだんだんと分かってくるはずです。
たとえば「三次関数の実数解の大小だけ考えればいい」とか、「AIに任せるから人間の住める環境を考慮しなくていい」とかいう解決課題を考えましょう。こうした限定された課題の問いかけに対して、研究者やその道の探求者である筆者としては、たとえ日本語の文章はヘタであったにしても、自分なりのアプローチを持っているわけです。
そこにいちいち筆者の観点では必要とされない自分の常識や疑念を勝手に差し挟むことは馬鹿げていますよね。「そもそも虚数解に大小はあるのか」とか「人間の仕事の機会の保障をどうしてくれる」だとか、聞かれていないことを心配して戸惑ってしまう・時間を浪費してしまうよりも、筆者のアプローチがどういう組み立てになっているかをこちら側で読み取ってあげることのほうが先決です。
書かれたとおりに細切れに文章を読むと〝議論の不備や分かりにくさ〟として感じかねない部分を、可能なかぎり自分に負担と時間を掛けずに構造化して読んでいくことができるかどうか。それが課題解決型の文章を読解するさいの大きな分かれ目になってくるはずです。
ここでは、「必要な論拠を2行にきっちり盛り込むポイント」として、随筆の解法としてすでに授業でやってきたメソッドを拡張して見たいと思います。リーチが長くて一言で相手の主張の核心に届くような論理的な二行60字の記述解答を書くための具体的な方法を実際にやってみましょう。
2016年度第1問 内田 樹「反知性主義者たちの肖像」:
・複数の設問をセットで解く〝三段図〟の発展的な使い方
(省けないはずの論拠の構成を、記述作業の過程で圧縮していくメソッド)