京都大学的4~5行の説明問題

 
①記述の書き方
京都大学的4~5行の説明問題

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 京都大学の過去問は、高等部の3クラスに対しては『望郷と海』(2014年度文理共通第一問)を高1のうちに演習しています。4~5行の記述問題について、要素をいくつ拾ってきてどう組み立てれば良いのかわからない人も多いと思いますので、「解き方対策あれこれ①(長文記述の解答要素について)」を参照してください。

 一般的な指導として、何も書けないよりは対比で字数をかせいだほうがマシだということが指示されているとおもいますが、方針のない対比は得点対象とされないことも多く、何を盛り込むべきかを見定める作業のほうが圧倒的に重要になりますので気をつけてください。

 また、『望郷と海』を無理矢理にでも授業で扱った理由でもあるのですが、高度な〈r〉(比喩などの象徴的な表現)を複数連係させることで、随筆のあいまいなテーマを全体で描き出す、という随筆特有の描写のしかたが存在します。これについては、文系だけが受験する東大第四問(随想もしくは文系分野の抽象的なテーマの文章)対策としてまとめていますので、ナビページ「比喩表現と具体例によるストーリー構成」「比喩表現をどう展開して説明するか」などを参照してください。

 文系東大第四問についての記事では、「あいまいな随筆にたった二行でいったい何を答えるべきか」という、高得点を取る上で非常に重要なポイントを説明しています。一般的な指導「比喩は分かりやすく具体的に直す」みたいな解き方だと、記述説明どころか作品全体のテーマを読み取ることさえできません。先述のナビページではかなり踏み込んで説明をしていますので、比喩についての説明が苦手という人はぜひとも読んでおいてください。

 あとは、最初に挙げた【お便りコーナー】京大阪大の入試問題についての解き方対策あれこれ②(今年はどんなテーマが出るだろうか)が地味に肝心なことを述べていますので絶対に読んでおくことをおすすめします。これは、京都大学の特性〝国語は毎年文学部が請け負って全学部ぶん作問している〟という事実による法則性を説明したものです。田中秀先生に言われるまで分からなかったことですが、これを知っているのと知らないのでは大違いです。必ず読みましょう。

 京都大学用の記事、という意味ではブログ内の記事の本数は少なく、申し訳なく思いますが、33期の高1のカリキュラムは基本的に京都大学の記述に必要な読み取りを扱ったものであったことを正しく知っておいてもらいたいと思います。文章の描かれ方と解答に盛り込んで良い要素の存在とその種類については、すべて伝えています。ですから私の授業を受けていた人は、できたらその頃のノートや教材を振り返ってもらえたらうれしいです。決して損はないはずです。

 それと比べると対応が不足しているのは、大阪大学と東京大学の、論理的思考がないと解答までたどり着けないパターンの出題です。こちらについては、ナビ記事「大阪大学的構造把握の要約問題」「東京大学的紆余曲折文章の抄訳問題」などを参照してください。このへんは実際読みにくい文章にあたる経験値を上げていかないと説明困難ゆえ、超絶頭脳明晰という人でなければ高三になってから取り組むのが望ましいと思います。いまからでも決して遅くはありません。

 もちろん、受験の解答をきれいに仕上げる、というゴールに対しては、そこまでの超絶頭脳は要求されていませんから安心してください。採点官が◯付けをする要素ごとに、なるべく的確に本文にある関係性で解答に盛り込んでいくことが大切です。アタマで考えすぎる人は、本文が論じない論じ方と言葉遣いで説明してしまうから、いつまでたっても配点要素の8割をカバーできないのです。発想の転換をして、拾える加点要素ぶんの解答を作ることがとにかく大切です。頑張ってください。


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