2行60字記述における無駄のない書き方

 
①記述の書き方
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☆2行60字記述における無駄のない書き方:
【お便りコーナー】本試験の解き方どうすればいいですか④ 記述解答の組み立てかた【後編】
☆解答要素の集め方
【お便りコーナー】本試験の解き方どうすればいいですか③ 記述解答の組み立てかた【前編】

 
 皆さんが気にするであろう記述の書き方の総則については、右のリンク【後編】のほうでだいたい説明はできているかと思います。とにかく60字記述は最大密度の解答が要求されるということを認識し、どうでも良いことで字数を浪費しないように努めるべきです。

 この記事ではさらに、連用修飾・連体修飾によって解答に要素を盛りつけていくさいの危険性について述べています。2行60字記述は最大密度で書くべきであり、特に連体修飾を使わずに必要な解答要素をすべて書くことは不可能だと思いますが、連体修飾句でも説明できることとできないこととが存在することをよく意識しておいてください。

 同様に、「―――であるため、︙︙」の論理関係を示す従属節も前後の係り受けの関係を断ち切ってしまうので、大減点を引き起こす可能性が高いです。記述に慣れていないうち・本文を難しく感じて言葉が追いつかない気持ちにさせられているときには、特に気をつけなければならないでしょう。論拠として明確に示すべきところを「―――して、︙︙」と曖昧に流してしまったり、主語目的語の二者関係を明示すべきところに軽はずみな気持ちで「―――ゆえに︙︙」とセンテンスを分断して主述関係不分明で大減点を食らったりと、とんでもない失点に見舞われることが多くあります。

 記述に慣れていない段階で、もし添削をしてもらうことが困難な場合は、友人同士で相互チェックの作業をすることを勧めたいと思います。削っちゃいけない部分や、削らないでも盛り込めるような文の組み立て順だったりを知恵出し合って考えることで、ようやく要求されている解答の密度が達成できるようになることでしょう。

 その他、☆解答要素の集め方については2行60字記述を無駄なく書くための前提条件なので京都大学的4~5行の説明問題を参照してください。

 このような、〝書くべき要素はどのようにカウントされ、どのような単位でまとめられ抽象化されるか〟は記述の書き方でもあり、同時に3、4つの形式段落を網羅的に要約する〝読み方〟の問題でもあるのです。それをそのまま出題するのは京都大学の途中の設問くらいかもしれませんけど、とても基本的な要約のテクニックですので、理解しておくことが大切だと思います。

 因みに東大の百二十字記述は要約なんかでは決してないのでもっと先の射程まで見据えてないといけないのですけど、イメージとしては観点ごとにまとめた2行60字記述2本、もしくは2行60字1本と30字要素2つ―――を組み合わせて論じたものというのが近いと思います。どういう観点で論じ直すのかについては、
読者と共有された課題設定・問題意識の確認のしかた
場合分けを語るなかで見えてくる前提条件
複数の論拠の整序を行う理由
で、それぞれ扱っていますので参照してください。

 だから、東大第1問の百二十字記述については入念な準備が必要だと言っていいでしょう。そのためにも、まずは2行記述でボケたことを書かないことが重要であり、その切り取りのシャープさをもって明確に一二〇字内で論じる、という過程を踏まないといけないと思います。 


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